協業の核心:Azureを基盤としたAIモデルの強化
今回の協業では、マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム「Azure」が中心的な役割を担います。リアルワールドが開発を進めるロボティクス・ファウンデーションモデル(RFM)の性能と学習能力を飛躍的に向上させるための基盤となります。
Azureの強力なインフラを活用
リアルワールドは、日本・韓国・米国といった実際の産業現場で収集した高精度な4D+マルチモーダルデータを活用し、特定のハードウェアに依存しないRFMの開発に取り組んできました。このRFMの学習規模と速度をさらに拡大するために、Azureの以下のリソースが活用されます。
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GPU・CPUクラスター: 大規模なAIモデルの学習と推論に必要な計算リソースを提供します。
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セキュリティ: 高度なセキュリティ機能により、機密性の高い産業データを保護します。
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API基盤: AIモデルの連携やアプリケーション開発を容易にします。
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クラウドストレージ: 大容量のデータを効率的に管理・保存します。
これらのAzureインフラを活用することで、強化学習、模倣学習、VLA (Vision-Language-Action) モデルといった先進的なロボティクスAIモデルの学習が加速され、より高度な機能が実現されることが期待されます。
Microsoft Research (MSR) との共同研究で未来を拓く
両社は、産業向けロボティクスAI研究のさらなる強化を目指し、マイクロソフトの研究機関であるMicrosoft Research (MSR) との協業可能性についても検討を進めています。これは、まさにAI研究の最前線を切り開く試みと言えるでしょう。
先進的な研究領域への挑戦
MSRとの協議領域には、以下のような先進的なテーマが含まれています。
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過去の作業履歴を考慮したLatent Actionモデリング: ロボットが過去の経験から学習し、より効率的で人間のような動作を実現するためのモデル開発です。
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産業環境に特化したビジョン‐ランゲージモデル (VLM): 複雑な産業現場の視覚情報と言語情報を統合し、ロボットが状況をより深く理解し、適切な判断を下せるようにするためのモデルです。
これらの研究が具体化されれば、産業用ロボットはこれまで以上に賢く、柔軟に動作できるようになるでしょう。今後の追加合意によって、具体的な研究内容がさらに明らかになる予定です。
アジア市場をターゲットにした共同Go-To-Market戦略
リアルワールドとマイクロソフトは、技術開発だけでなく、その成果を実際の市場に展開するための共同Go-To-Market (GTM) 戦略も推進します。特にアジア地域の製造・物流・小売・ホテル産業に焦点を当て、具体的な実証と事業活動を進めていくとのことです。
幅広い産業での実証と展開
共同GTM戦略では、以下の活動が計画されています。
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PoC (概念検証) プロジェクト: 実際の産業現場でロボティクスAIの有効性を検証します。
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共同マーケティング: 両社の強みを活かしたプロモーション活動を展開します。
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技術カンファレンスでの発表: 最新の技術成果を広く共有し、業界全体の発展に貢献します。

これは、リアルワールドが持つ産業現場データとロボティクスAI技術、そしてマイクロソフトのグローバル製造業ネットワークとクラウド基盤を組み合わせることで、市場展開を加速させることを狙いとしています。アジア市場における産業用ロボティクスAIの普及に大きく貢献することが期待されますね。
リアルワールドとは? Physical AIの最前線
ここで、協業のパートナーであるリアルワールドについて少し詳しく見てみましょう。リアルワールドは「Physical AI企業」として、実世界の課題をAIとロボティクスで解決することを目指しています。
人間レベルの手指動作を実現するRFM
リアルワールドの最大の強みは、実産業現場で収集した高精度なマルチモーダルデータを基盤に、人間レベルの手指動作を実現するロボティクスファウンデーションモデル(RFM)を開発している点です。これは、複雑な作業をロボットがより器用にこなせるようになることを意味します。
独自技術と成長戦略
同社は、独自に構築したマルチセンサーキャプチャーシステムを用いて、複雑な製造・物流など様々な産業のデータを大規模に取得しています。そして、認知・動作・制御を統括したモデルによって、高度な自動化を可能にしているのです。
すでに日本・韓国の主要製造企業および著名なベンチャーキャピタルからシード投資を獲得しており、複数の産業パートナーとのパイロットプロジェクトも進行中です。東アジアにおける構造的な強みを背景に、グローバルリーディングカンパニーへの成長を加速させています。
両社代表のコメントにみるビジョン
今回の協業について、両社の代表からは未来への強いビジョンが語られています。
リアルワールド代表 リュ・ジュンヒ氏の言葉
リュ・ジュンヒ代表は、「マイクロソフトとの協業は、リアルワールドのロボティクス・ファウンデーションモデル(RFM)をグローバル水準で迅速かつ安定的に拡張するための中核基盤となる」と述べ、さらに「世界の産業現場の実課題を解決する“現場起点のロボティクスAI”の新たな標準を共に築いていきたい」と、現場に根ざしたAIの重要性を強調しています。
マイクロソフト ジョニー・ティアン氏の言葉
一方、マイクロソフトのDigital Native Asia営業部門副社長であるジョニー・ティアン氏は、「リアルワールドは実際の産業現場で機能するロボティクスAIの開発をリードする企業だ」とリアルワールドを高く評価しました。そして、「AzureとMSRの技術基盤を通じてリアルワールドのグローバル展開を支援するとともに、アジアの企業がロボティクスAIを競争力として活用できるエコシステムをともに構築していく」と、アジア市場でのエコシステム構築への意欲を示しています。
リアルワールドは今後も、様々な産業領域とPoCや商用化プロジェクトを拡大し、グローバルPhysical AIエコシステムの主要企業への飛躍という目標を掲げています。今回のマイクロソフトとの協業は、その目標達成に向けた大きな一歩となることでしょう。
