伯東とシャロニクスが協業、Ambarella社製SoC活用で産業向けカスタムAIをワンストップ提供

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現場AI活用における課題と協業の背景

近年、生成AIやマルチモーダルAIの実用化が進む一方で、実際に現場でAIを活用するには、いくつかの重要な要素が求められています。

  1. ハードウェアの適切な選定と保守: カメラ、SoC、通信など、現場に合ったハードウェアの選定と安定した保守体制。
  2. モデルの最適化: 現場固有のデータを活用したAIモデルの最適化。
  3. MLOpsの仕組み: 継続的な運用を支えるためのMLOps(Machine Learning Operations)の構築。

これらの三位一体が現場AI成功の鍵となります。今回の協業では、伯東が最先端SoCの提供と調達・設置・保守網を、シャロニクスがCLIP/VLM/YOLOなどのAIモデルのファインチューニングと運用を担当することで、この課題を解決し、スピーディーな現場AIの導入を可能にします。

サービスを支える技術の魅力

本サービスのエッジ実装の中核となるのは、Ambarella社製AIビジョンプロセッサCV72、N1-655(5nm、CVflow®第3世代)を搭載したAI BOXです。このSoCは、CNN/DNNに加えてTransformer向けアクセラレータを内蔵しており、高性能と低消費電力の両立を実現しています。これにより、サーバーに依存することなくオンデバイスで高度なAI推論を完結できるため、通信遅延の削減やプライバシー保護の強化に貢献します。これは現場でAIを動かす上で非常に大きなメリットですね。

推論面では、従来のYOLOなどのAIモデルに加え、CLIP、VLM、さらには軽量LLM(Large Language Model)のエッジ動作に対応しています。これにより、ユースケースに応じてゼロショット特性を生かした検知から、ファインチューニングによる特化まで柔軟に選択できます。現場データに基づいたカスタムAIを少量データから短期間で立ち上げ、KPIに直結する改善を継続できるのが特徴です。

多岐にわたるユースケース

この産業向けAIサービスは、以下のような様々な分野での活用が期待されています。具体的な事例を見てみましょう。

分野 ユースケース例
物流・倉庫 積み荷状態監視(荷崩れ、積載過多、はみ出し、固定不良の自動検知、パレット割れ・ラップ剥がれの早期発見、ドック滞留の可視化)、マルチラベル・バーコード補助(ラベル欠損時の代替判定、誤積み候補のアラート)。
製造 外観検査の言語化(作業標準書の文言(例:「エッジ欠け」「打痕」など)をCLIPのテキスト側へ表現し、ラインごとに異なる合否基準へ素早く追従)、予防保全(摩耗・劣化の兆候を画像+メタ情報でスコア化)。
小売り・店舗 棚版オペレーション(品出し漏れ、フェイス乱れ、売場ミスマッチの自動検出、期限間近品の棚替え提案)、バックヤード最適化(入出庫のヒューマンエラー抑制)。
建設・プラント・インフラ 安全管理(ヘルメット未着用・高所無胴綱・立入禁止域侵入などの検知、危険行動の早期警告)、設備点検(腐食・液漏れ・サーマル異常(外部センサ併用)を統合監視)。
ヘルスケア・見守り 高齢者見守り(転倒兆候・徘徊リスクなど行動変容の検知(施設ローカル環境での推論))、機微配慮(顔の匿名化、特徴量のみ保存等のプライバシー配置も設計可能)。
公共安全・スマートシティ 不法投棄・放置物、危険駐停車、路面異常の検出と通報フロー連携。

セキュリティとプライバシーへの配慮

AIの活用において、セキュリティとプライバシーは非常に重要な要素です。本サービスでは、以下の点に徹底的に配慮しています。

  • エッジ推論の基本: 個人情報を外部に送信しない構成を基本とします。

  • 匿名化・データ最小化: 学習時には顔ぼかしやマスキング、特徴量のみの保存により、匿名化とデータ最小化を徹底します。

  • 監査可能性の確保: モデル更新や検出・アラート履歴は追跡可能で改ざん検知できる形で保全され、監査可能性が担保されます。

協業がもたらす未来と両社のコメント

今回の協業は、両社が共通して掲げる「現場で価値を生むAI」の実現に向けた大きな一歩です。シャロニクスは、マルチモーダルAIのファインチューニングとMLOps基盤を強化し、少量データからの迅速な立ち上げと継続改善を推進します。一方、伯東はAmbarella社製SoCを中心としたエッジデバイス群と、調達・設置・保守の体制を拡充し、産業現場で求められる信頼性と拡張性を提供します。両社は「現場装置×AI」の普及を通じて、様々な産業におけるKPI改善とDXの加速、さらには社会課題の解決と新たな価値創出に貢献していく方針です。

伯東株式会社 取締役執行役員 石下裕吾氏のコメント:

「シャロニクス社との協業により、ハードウェア、ソフトウェア、保守・運用までのワンストップソリューションを提供することが可能になりました。EdgeAI分野では『プライバシーの保護』、『通信負荷の低減による負荷分散』、『リアルタイム処理』の3つが重要な要素として求められます。Ambarella社の高性能生成AI BOXに、シャロニクス社のファインチューニングを組み合わせて提案することで、お客様の多様なニーズに応える高度なソリューションを提供してまいります。」

株式会社シャロニクス 代表取締役 清水 雄介氏のコメント:

「私たちシャロニクスは、産業・社会インフラ分野におけるAI開発において、現場が抱えるさまざまな制約の下で継続的な改善を実現していくことが重要だと考えています。本協業では、シャロニクスが培ってきたマルチモーダルAIおよびMLOpsの知見と、伯東社が強みを持つAmbarella社製SoCをはじめとするエッジAIハードウェアを組み合わせることで、現場データを起点とした伴走型ソリューションの提供を目指します。今後も伯東社とともに、AIを活用した産業現場の生産性向上と社会課題の解決に取り組んでまいります。」

各社の紹介

  • 伯東株式会社
    1953年創業の技術商社であり、工業薬品を生産するメーカーでもあります。「人と技術で広く世界を結ぶ」をモットーに、先進テクノロジーで産業社会の未来を切り拓く最適なソリューションを提供しています。エレクトロニクス×ケミカル領域、商社×メーカーのハイブリッド企業としてのシナジーを発揮し、独自の価値を創出しています。
    詳細はこちら: https://www.hakuto.co.jp

  • 株式会社シャロニクス
    LLM/VLMやAIエージェント開発を中核技術とし、データ収集設計からAIモデルの構築・運用まで一貫して手がけるR&Dスタートアップです。最新の研究成果や論文に基づき、業務効率化、現場DX、新サービス創出に向けたオーダーメイドのAIソリューションを提供し、企業の現場でのAI活用を支援しています。PoCの企画段階から本番運用・内製化支援まで伴走し、アカデミックな知見と実装力を融合させて、社会に価値あるAI導入を実現しています。
    詳細はこちら: https://sharonix.com/

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