コードを書くとき、「もっと速く、もっと楽に開発できたら」と思ったことはありませんか?
2024年後半から、AI支援開発ツールは驚くべき進化を遂げました。
かつて「賢いオートコンプリート」だったものが、今では「自律型エージェント」へと変貌を遂げています。
2025年11月、GoogleがAntigravityを発表したことで、市場は大きく二分されました。
一つは、高速なインライン補完で開発者の思考速度に同期する「同期型支援」。
もう一つは、タスクを委任してAIがバックグラウンドで遂行する「非同期型オーケストレーション」。
本記事では、Cursor、Windsurf、Google Antigravity、GitHub Copilotという4大プラットフォームを徹底比較します。
あなたの開発スタイル、予算、プロジェクトの規模に応じた最適解を見つけましょう。
ぜひ最後までご覧ください。
AIコードエディタ市場の勢力図
VS Codeフォークという戦略
現在の主要プレイヤーの多くは、VS CodeをフォークしてAIを核に統合した「AIファースト」なエディタです。
これは単なる拡張機能の追加ではありません。
エディタそのものがAIを前提に設計し直されているのです。
同期型と非同期型の違い
開発支援ツールは、大きく2つのアプローチに分かれます。
同期型は、あなたがコードを書きながらリアルタイムで補完や提案を行います。
思考を中断させず、フロー状態を維持することを重視したスタイルです。
一方、非同期型は、タスクを委任してAIに作業させ、成果物をレビューする形式。
「コードを書く人」から「AIを管理する人」へのシフトを意味します。
Cursor|圧倒的なUXとフロー体験
Composerと「Shadow Workspace」技術
Cursorの最大の武器は「Composer」です。
Cmd+Iで起動し、複数のファイルを同時に修正・生成できます。
ここで注目すべきは「Shadow Workspace」という仕組み。
AIがコードを生成する際、バックグラウンドでリンターやコンパイラを密かに実行します。
構文エラーのないコードだけがあなたの目の前に現れるのです。
試行錯誤の時間が劇的に短縮されます。
Cursor Tab|次のアクションを予測する
「Cursor Tab」は、単なる補完機能ではありません。
変数名を変更したとき、関連する他ファイルの修正箇所へカーソルが自動でジャンプします。
あなたの意図を先読みし、次に何をすべきかを提示してくれるのです。
開発者の思考速度に同期する、まさに「フロー体験」の体現と言えます。
Cursorの弱点
高速なリクエストには強いものの、「低速リクエスト」では待ち時間が発生します。
また、拡張機能の一部が正常に動作しないケースも報告されています。
Windsurf|コンテキストと無料戦略の挑戦者
Cascadeと「Deep Context」
Windsurfは、ユーザーの「軌跡(Trajectory)」を記憶します。
ターミナルでエラーが出たとき、わざわざコピー&ペーストする必要はありません。
Windsurfはすでにターミナルの出力を読んでいるからです。
「さっきのエラーを直して」と伝えるだけで、修正案が提示されます。
この「Deep Context」機能は、初心者にとって非常に優しい設計です。
攻撃的な無料プラン
Windsurfは無料プランで「Fast Tab(高速補完)」を無制限に開放しています。
学生やコスト意識の高い開発者から絶大な支持を得ている理由がここにあります。
有料のProプランも月額15ドルと、競合より安価です。
Google Antigravity|エージェントの司令塔
Manager Surfaceという新概念
Antigravityは、「コードを書くツール」ではありません。
「エージェントを管理(オーケストレーション)するツール」として設計されたデスクトップIDEです。
最大の特徴は、エディタとは別に存在する「Manager Surface」。
ここではチャット形式ではなく、非同期のワーカースレッドとしてエージェントを立ち上げます。
あなたがエディタでコーディングしている裏で、エージェントAに「テストの作成」、エージェントBに「ドキュメントの更新」を指示できます。
並列作業が可能なのです。
Artifactsによる成果物の提出
エージェントはチャットで返答しません。
実装計画書、変更のDiff、スクリーンショットといった「成果物」を提出します。
そして人間の承認を待つのです。
この非同期な働き方は、設計者やマネージャー視点での開発に最適化されています。
ブラウザ操作とGemini 3 Pro
AntigravityはヘッドレスChromeを内蔵しています。
エージェントが自らアプリを起動し、ブラウザを操作して動作確認(Vibe Coding)を行います。
これを支えるのが、100万トークン以上のコンテキストを持つGemini 3 Proです。
リポジトリ全体を読み込み、巨大な依存関係を理解する能力において、現時点で他社を凌駕しています。
セキュリティと互換性の課題
初期のAntigravityは、エージェントがユーザーの確認なしにシェルコマンドを実行する挙動が報告されました。
企業導入にはセキュリティ上の懸念があります。
また、VS Codeフォークでありながら、Microsoft純正の「C# Dev Kit」や「GitHub Pull Requests」などの拡張機能が正常に動作しない問題も確認されています。
現状では、PythonやJavaScript/TypeScriptユーザーに推奨されます。
Firebase Studioとの棲み分け
GoogleはAntigravityと並行して、Firebase Studio(旧Project IDX)も展開しています。
こちらはブラウザベースのIDE。
クラウド上で完結するフルスタック開発環境として、環境構築を飛ばしてすぐにWebアプリを作りたい層をターゲットにしています。
Antigravityの「プロ向け重量級ツール」とは対照的な「手軽さ」が売りです。
GitHub Copilot|安定のエコシステム統合
Copilot Editsと企業の安心感
GitHub Copilotは、2025年に「Copilot Edits」を追加し、複数ファイル編集に対応しました。
CursorやWindsurfほどの派手さはありません。
しかし、GitHubプラットフォーム(PR、Issue)との連携は唯一無二です。
企業におけるコンプライアンスの観点から、最も安全な選択肢と言えます。
VS CodeやVisual Studioをそのまま使い続けられる点も、導入障壁を大きく下げています。
Cline|BYOK(Bring Your Own Key)の自由
完全に自律的なコーディング
オープンソースのVS Code拡張機能であるClineは、API利用料を直接支払うことで機能します。
AntigravityがGoogleの枠組み内での自律性であるのに対し、Clineはモデル(Claude 3.7、GPT-5、Gemini 3)を自由に選べる点が強みです。
現在、「Cursorの中にClineを入れて、難しいタスクだけClineにやらせる」という運用がパワーユーザーの定石となっています。
主要ツールの比較表
| 項目 | Cursor | Windsurf | Google Antigravity | GitHub Copilot |
|---|---|---|---|---|
| 設計思想 | 同期・フロー(高速なインライン編集) | コンテキスト(深い文脈理解) | 非同期・管理(エージェントの司令塔) | エコシステム(GitHub統合) |
| キラー機能 | Composer(複数ファイル同時編集) | Cascade(文脈・軌跡の記憶) | Manager Surface(並列エージェント実行) | Copilot Edits(PR/Issue連携) |
| 主要モデル | Claude 3.7 / GPT-5 | Claude 3.5 / GPT-4o | Gemini 3 Pro(1M+トークン) | GPT-4o / Claude |
| 検証機能 | Shadow Workspace(裏でリンター実行) | Deep Context(エラーログ自動読解) | Browser Agent(ブラウザ操作・目視確認) | なし |
| 価格 | $20/月(Pro)+ 従量課金オプション | $15/月(Pro)、無料枠が強力 | プレビュー無料(将来的に課金予想) | $10/月(無料プランあり) |
| 弱点 | 「低速リクエスト」の遅延、拡張機能の一部制限 | 拡張機能互換性(C#等) | シェル実行の安全性、拡張機能互換性 | 自律性の低さ |
あなたに最適なAIエディタの選び方
圧倒的な開発体験と速度を求めるなら|Cursor
Composerと Tabの組み合わせは、現時点で最も直感的かつ高速です。
自分でコードを書きつつ、AIに強力に支援させたい「現役バリバリ」のエンジニアに最適。
推奨構成: Cursor Proプラン
無料で高性能、初心者にも優しい|Windsurf
無料で「Fast Tab」が無制限に使え、Proプランも競合より安価です。
Cascadeが文脈を汲んでくれるため、エラーの説明が苦手な初心者でも扱いやすい。
推奨構成: Windsurf Freeプランからスタート
設計者・マネージャー視点で開発するなら|Google Antigravity
自分でコードを書くよりも、仕様を伝えて「AIに作らせて、成果物をレビューする」スタイルに特化。
Gemini 3の長大なコンテキストを活かし、大規模なリファクタリングやドキュメント生成を裏で回しておくのに最適です。
注意点: C#やJavaなど、特定のVS Code拡張機能に依存する言語では使えない可能性があります。PythonやJS/TSユーザー推奨。
企業導入・安心感を重視するなら|GitHub Copilot
セキュリティ、ライセンス管理、そしてGitHubとの統合は企業にとって代替不可能です。
VS CodeやVisual Studioをそのまま使い続けられる点も導入障壁を下げます。
推奨構成: GitHub Copilot Businessプラン
最強の組み合わせ(Power User向け)
構成: Cursor + Cline(with Gemini 3 Pro / Claude 3.7)
普段のコーディングはCursorの高速なUIで行い、複雑な自律タスク(テスト網羅、大規模改修)は拡張機能のClineにAPIキーを渡して丸投げする。
これが2026年現在の「最強の布陣」です。
まとめ
AIコードエディタの選択は、あなたの開発スタイルによって大きく変わります。
速度とフロー体験を重視するならCursor。
コスト意識と初心者への優しさならWindsurf。
エージェント管理と非同期作業を試したいならGoogle Antigravity。
企業導入と安定性ならGitHub Copilot。
そして、最高峰のカスタマイズ性を求めるなら、Cursor + Clineの組み合わせ。
2026年、AIは「コードを書く支援」から「開発プロセス全体のオーケストレーション」へと進化しました。
あなたに合ったツールを選び、生産性を最大化しましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。