学部の1・2年生に出す案内は、多くの場合「インターンシップ」ではなく、会社や仕事を知る場として始めるのが基本です。
国の取り扱いでは、「インターンシップ」と呼べるものに条件があるためです。
この記事では、呼び方の決まりから、最初の一歩、1・2年生に伝わる見せ方、掲載ページに書くこと、時期、届ける手段までを順に整理します。
制度の内容は、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の公開資料で2026年10月に確かめた範囲だけを書いています。
早期インターンとは?1・2年生向けは「インターンシップ」と呼べないことが多い
就業体験があり、決められた条件を満たすものだけを、国の取り決めでは「インターンシップ」と呼びます。
その条件の中に、実施する学年(学部3・4年など)の定めがあるため、1・2年生向けの案内は別の呼び方になることが多くなります。
「三省合意」と4つのタイプを一言で
三省合意は、文部科学省・厚生労働省・経済産業省が定めた、インターンシップなど学生のキャリア形成を支える取り組みの取り扱いです。
企業と大学でつくる産学協議会が2022年4月に取り組みを4つのタイプに整理し、三省合意が同年6月13日の一部改正でその整理を取り入れました。
三省合意は国が示した基本的な考え方です。法令上の義務にあたるかどうかは、この記事では確かめていないため、各社の人事・法務でご確認ください。
「就業体験」は、企業の実務を経験することです。
| タイプ | 名前 | 主な目的 | 就業体験 | 「インターンシップ」と名乗るか |
|---|---|---|---|---|
| 1 | オープン・カンパニー | 個社・業界の情報提供など | 必須ではない | 名乗らない |
| 2 | キャリア教育 | 教育 | 必須ではない | 名乗らない |
| 3 | 汎用的能力・専門活用型インターンシップ | 自分の能力の見極め、評価材料の取得 | 必須 | 名乗る |
| 4 | 高度専門型インターンシップ(試行) | 同上 | 必須 | 名乗る |
出典:文部科学省「令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります」、三省合意(2026年10月に確認)。
タイプ3・4は就業体験のある本格的なインターンシップです。1・2年生向けの案内を考える段階では、タイプ1・2を押さえれば足ります。
1・2年生向けの案内は、どのタイプに近いか
タイプ3の条件には、実施する時期として「学部3年・4年ないし修士1年・2年の長期休暇期間」が含まれます。
このため、1・2年生向けの案内は、会社や仕事を知る場(タイプ1・2にあたる形)として出すのが自然です。
ここでいう1・2年生は学部生です。三省合意に出てくる修士1・2年は含みません。
そのときは、案内に「インターンシップ」と書かず、「会社説明会」「職場見学」「社員との座談会」のように中身で呼びます。
就業体験を伴う、長期や有給の仕事体験は、別の枠組みになります。この記事では扱いません。
前倒しで守る2つの点
1つ目は、採用活動そのものを「インターン」の名前で前倒しして行わないことです。
三省合意は、インターンシップと称して、就職・採用活動の開始時期より前に就職・採用活動そのものを行わないよう求めています。
2つ目は、1・2年生向けの案内に「採用選考とは関係がない」と先に書くことです。書き方は「掲載ページに書くこと」の章で説明します。
1・2年生向けは、会社や仕事を知る場として、中身が分かる名前で案内する。
「インターンシップ」と書くのは、条件を満たす就業体験のときだけ。
低学年向けの採用広報を小さく始める最初の一歩
最初は、担当者を決めて、小さな催しを1つだけ用意するところから始めるのが現実的です。
「何人集まるか」は、やってみないと分かりません。人数の見込みを立てるより、小さく試して様子を見る進め方が向いています。
社内で先に決めておく3つ
- 担当者
-
学生への連絡と当日の進行を受け持つ人を1人決めます。兼任でも構いません。
- 現場の協力
-
話してくれる社員を1〜2人決めます。仕事の話は、現場の人が一番伝えられます。
- 使える予算の上限
-
会場費や広告費など、使ってよい金額の上限を先に決めます。上限の中でできる形を選びます。
1・2年生に出しやすい接点の形
どれも就業体験を伴わない形で、採用選考とは切り離して案内できます。
| 形 | 内容 | 向くとき |
|---|---|---|
| オンライン座談会 | 社員が仕事や学生時代の話をする | 移動の負担なく、少人数で始めたい |
| 職場見学 | オフィスや現場を案内する | 仕事の様子を見せたい |
| 会社・業界の説明会 | 事業や業界の全体像を話す | まず社名を知ってもらいたい |
| 社員との交流会 | 少人数で質問に答える | 学生の疑問を直接聞きたい |
最初の一歩を、順番に
「社名を知ってもらう」「仕事を知ってもらう」のどちらを狙うかを1つに絞り、担当者を決めます。
上の表から1つ選びます。まずは回数を絞って、小さく実施します。
職種・期間・応募方法を、学生が1画面で読める長さにまとめます。書く項目は「掲載ページに書くこと」の章を見てください。
届ける手段を1〜2つ選んで案内します。手段の例は「1・2年生に届ける手段を比べる」の章にあります。
来た人数と質問の中身を記録し、次回の形や案内の書き方を直します。
1・2年生に伝わる見せ方:会社の話より、仕事・人・学べること
1・2年生は就活の前の段階なので、会社の沿革より、仕事の中身と一緒に働く人の話のほうが伝わりやすいと考えて、案内を組み立てます。
これは決まりではなく、案内を作るときの考え方です。
最初に書く3つ
- 何をする仕事か
-
1日の流れや、学生が見られる場面を具体的に書きます。
- 誰が話すか
-
社員の学年や入社年次、担当している仕事を書くと、自分との距離が分かります。
- 参加すると何が分かるか
-
「業界の全体像が分かる」のように、参加して得られる中身を書きます。
避けたい書き方
「優遇」「早期選考」など、選考につながると読める言葉は、1・2年生向けの案内では使いません。
学年が分からない書き方も避け、「1・2年生向け」「学年不問」のどちらかをはっきり書きます。
文面の例(サンプル)
オンライン座談会「営業の仕事を知る」(1・2年生向け)
社員2人が、1日の流れと仕事のやりがいを話します。60分、オンライン開催です。
この座談会は採用選考とは関係ありません。
参加を希望する方は、申込みフォームから応募してください。
掲載ページに書くこと:職種・期間・応募方法と、選考との関係
掲載ページは、案内を載せるページのことです。自社サイトでも、掲載先のサービスのページでも同じです。
最低限、何をするのか、いつ・どこで行うのか、どう応募するのかが、1画面で分かるように書きます。
三省合意は、タイプ3のインターンシップの募集要項に書く項目を定めています。
1・2年生向けの案内はタイプ3ではありませんが、学生に分かりやすい書き方の目安として使えます。
書く項目の一覧
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 趣旨(目的) | 何のための催しか |
| 職種・内容 | どの仕事について、何をするか |
| 実施時期・期間・場所 | 日付、所要時間、会場またはオンライン |
| 募集人数と選び方 | 何人か。先着か選考か |
| 有給か無給か | 費用や謝礼の有無 |
| 必要な能力 | 事前の知識が必要か |
| 参加後の対応 | フィードバックの有無 |
| 応募方法と締切 | 申込みの手順、締切日、問い合わせ先 |
出典:三省合意の情報開示要件(2026年10月に確認)をもとに、1・2年生向けに書き換えた目安です。
選考との関係を書く
1・2年生向けの案内には、「採用選考とは関係がない」と先に1文で書きます。
参加者の情報を採用に使う旨を書けるのは、タイプ3(学部3・4年向け)のインターンシップだけです。
学生の情報を使える時期の決まりは、「いつ始めるか」の章で説明します。

いつ始めるか:学年と時期の考え方
案内を出す時期に決まりはありませんが、取得した学生の情報を採用に使える時期には線があります。
「取得した学生情報」は、参加申込みなどで企業が得た、学生に関する情報のことです。たとえば氏名や連絡先、参加の様子です。
「広報活動」は、採用を目的とした情報を学生に発信する活動で、実質的な選考ではないものです。「採用選考活動」は、採用のための実質的な選考を行う活動です。
三省合意の別紙では、学部生の場合、取組を実施した時期ごとに次のように整理されています。
| 取組を実施した時期(学部生) | 取得した学生情報の扱い(基本の取扱い) |
|---|---|
| 3年生の2月末までに実施(1・2年生向けはここ) | 広報活動にも採用選考活動にも使えない。例外はタイプ3で、趣旨を事前に示した場合のみ |
| 3年生の3月〜4年生の5月末に実施 | 広報活動に使える。採用選考活動は、タイプ3で趣旨を事前に示した場合に限り、6月以降に使える |
| 4年生の6月以降に実施 | 使える |
出典:三省合意 別紙2、文部科学省リーフレット(2026年10月に確認)。
「趣旨を事前に示す」は、募集要項に、採用活動の開始以降に学生情報を活用する旨を書くことです。
1・2年生向けの案内で得た情報は、この表の一番上にあたるため、広報や採用選考には使えない扱いが基本です。
ただし、学生が自分で出したエントリーシートなどに参加の事実が書かれている場合は、他の書類と同じように使って差し支えないとされています。
年月の例
標準修業年限の4年で数えた例です。2026年4月に入学した1年生なら、3年生の3月は2029年3月、4年生の6月は2029年6月です。
2025年4月に入学した2年生なら、3年生の3月は2028年3月、4年生の6月は2028年6月です。
大学の学事日程に合わせる
授業や試験の時期は大学ごとに違います。
案内の日付は、各大学の公式ページで学事日程を確かめてから決めてください。
続けて接点を持つときの注意
1・2年生は、3年生になるまでに時間があります。続けて接点を持つ考え方もあります。
自社サイトやSNSで広く告知する案内は、特定の参加者の情報を使いません。
参加者の連絡先へ後から案内を送ってよいかは、広報活動への使用にあたるかが関わります。各社の人事・法務で確認してください。
就活全体の日程や学年別の動きは、別の記事で整理しています。

1・2年生に届ける手段を比べる
1・2年生に届く手段はいくつかあり、狙う学生や費用によって向き不向きが変わります。
| 手段 | 届く場面 | 向くとき | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 大学のキャリアセンターや掲示 | 大学が学生に案内する場 | 大学を通して案内したい | 受付や掲示の手続きは大学ごとに確認が必要 |
| 自社サイト・SNS | 学生が社名で検索したとき | すでに社名を知っている学生に伝えたい | 社名を知られていないと見つけてもらいにくい |
| 学生向けのイベント・説明会 | 学生が企業を探しに来る場 | 直接話して印象を残したい | 出展の準備や費用が必要な場合がある |
| 長期インターン求人サイト | 求人を探している学生 | 就業体験の募集を出したい | 就業体験の求人が中心で、座談会の案内には向かないことがある |
| 在学生向けアプリ(KPassなど) | 学生が日常で開く画面 | 就活が始まる前から知ってもらいたい | KPassは慶應義塾大学の学生だけが対象。料金は媒体資料で案内 |
手段の一つ:慶應の学生に案内を出せる KPass for Business
KPass は、慶應義塾大学の学生向けの時間割・課題管理アプリです。このブログと同じ株式会社Technophereが運営しています。
KPass for Business は、そのアプリに企業が案内を載せられるサービスです。
KPass の利用者は、約77%が1・2年生です(2026年10月時点、KPass for Business のページより)。
掲載には「PR」と表記が付き、学部・学年・キャンパスを絞って届けられます。

掲載場所は、ホームのローテーション枠と、履修サポート・時間割・キャンパス・マイページの専有枠です。
ローテーション枠は、参加する企業が表示を分け合う枠です。専有枠は1面1社で、月単位で契約します。

課金は、表示された回数に応じる表示課金か、クリックされた回数に応じるクリック課金から選べます。月の予算上限は企業側で決められます。
掲載ページの制作と公開後の修正に、追加の費用はかかりません。
金額や空き状況は、掲載の形や条件をまとめた媒体資料で案内されます。
よくある質問
- 1・2年生向けの案内に「インターン」と書いてよいですか?
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就業体験があり、決められた条件を満たすときだけです。
そうでなければ、「座談会」「職場見学」のように中身で呼ぶのが安全です。
- 低学年のうちに案内を出すと、囲い込みと見られませんか?
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1・2年生向けの案内に、選考とは関係がないと先に書けば、誤解は避けやすくなります。
「優遇」「早期選考」のような言葉は、1・2年生向けでは使わないでください。
- 何人くらい集まりますか?
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集まる人数は企業や内容によって変わるため、目安は書けません。
小さな規模で試し、結果を見て次を決める進め方をおすすめします。
- 1・2年生の参加者の情報は、採用に使えますか?
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三省合意の整理では、3年生の2月末までに取得した情報は、広報活動にも採用選考活動にも使えない扱いが基本です。
詳しくは「いつ始めるか」の章の表を見てください。
- 最初に何を決めればよいですか?
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担当者、話してくれる社員、使える予算の上限の3つです。
「小さく始める最初の一歩」の章で順番に説明しています。
まとめ:呼び方・書き方・時期を押さえて、小さく始める
1・2年生向けは、「インターンシップ」と呼ばず、中身が分かる名前で案内します。
掲載ページには、職種・期間・応募方法に加えて、選考との関係を先に書きます。
学生の情報を採用に使える時期には決まりがあるため、「いつ始めるか」の章の表で確かめてください。
慶應の学生に案内を出す手段の一つとして、KPass for Business があります。


